Beauty Beyond Time – MEISSEN –

1710年にエルベ川を見下ろすマイセンの城に王立磁器製作所が設けられ、マイセンの物語が幕を開けました。以来300年あまり、多くのすぐれた彫刻家や絵付け画家の努力によって、さまざまなすぐれた装飾品や食器を作りだし、その伝統は今日に至るまでずっと続いています。

マイセンの歴史によって培われた技術により、生活を彩る芸術品として、優れたデザインと絵画の様な絵付けで食卓を飾る食器として、高い品質を誇るマイセンの逸品をご紹介します。

ドラゴン

磁器には時代を映し出す不思議な力が備わっています。18世紀に造られたマイセンのデザインを見ると、王や貴族が楽しんだ華やかな宮廷生活が目に浮かんできます。

1730年代の半ば過ぎから、揃いの食器セットいわゆる「サービス」が作られ始めました。この「ドラゴン・サービス」(オリジナルは赤)は、ザクセン領主ヴェッティン家の邸宅用でした。

マイセン(Meissen) ドラゴン ブルー 320210/00582 コーヒーカップ&ソーサー 200cc

マイセン(Meissen) ドラゴン ピンク 320410/00582 コーヒーカップ&ソーサー 200cc

マイセン(Meissen) ドラゴン ピンク 320410/00582 コーヒーカップ&ソーサー 200cc

スワンレイク

17世紀に「白い金」と呼ばれた磁器は、富と権力の証として宮殿装飾に欠かせないようになり、東洋の宝物を愛好する君主たちはそれを自慢しあっていました。

野心家のアウグスト強王は、宮殿を景徳鎮や伊万里の輸入品やマイセン磁器で満たした「日本宮」を建築するという前代未聞の計画を思いつきます。そしてその「日本宮」の目玉として、「メナージュリ」という動物園を磁器で再現する計画を立て、造形家として宮廷彫刻家のケンドラーに鳥獣の製作を命じました。このケンドラーが造形家エベラインの協力を得て作り上げたのが、世界最大の食器セットと言われる「スワン・サービス」です。

マイセン(Meissen) スワンレイク 397152/05584 ティーカップ&ソーサー

マイセン(Meissen) スワンレイク 397152/05584 ティーカップ&ソーサー

アウグスト強王の没後、マイセン製作所の運営を任されたブリュール伯爵の注文で作られたこの食器セットは2000ピース以上のアイテムがあり、オリジナルはエルミタージュ美術館とドレスデン陶磁美術館で保存されています。

造形師 ケンドラー

貴族が宮殿で行う正餐会には、趣向を凝らした豪華な食卓飾りがつきものでした。

元々その飾りには高価な舶来の砂糖が惜しげもなく使われていたのですが、ヨーロッパ各地で磁器窯の開窯が相次いだ18世紀以降、磁器製のものが取って代わるようになりました。

マイセン人形としても知られる小型の彫刻「フィギュリン」は、そうしたテーブルの装飾の一部であった人物像に起源をもちます。ブリュール伯爵(1700-1763)が所有する1753年の「磁器の在庫目録」には、すでに食卓の装飾用に約4000の彫刻品が掲載されていました。

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 900384/67062 オウムと中国人 H18cm

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 900384/67062 オウムと中国人 H18cm

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(1706-1775)は、1760年に扇とオウムを持つ中国人を製造しました。膝に座るオウムと一緒に、完全にリラックスして楽しく笑っている表情が何ともユーモラスな作品です。

ケンドラーは晩年にいたるまで数限りないモデルを作り上げました。宮廷人にとって一番の娯楽であったイタリア喜劇や、ユーモアと風刺の入り混じった猿の楽団、マイセン近郊の庭で遊ぶ子供たちなどケンドラーの人間味あふれる迫真の表現が込められています。

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/64551 ジョッキを掲げるアルルカン

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/64551 ジョッキを掲げるアルルカン

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/60328 リースを持つ少年 13cm

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/60328 リースを持つ少年 13cm

ケンドラーについてはこちらでもご紹介しています。

マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.13

2016.11.29

マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.14

2016.12.06

プラーク(陶板)

絵付師の情熱は留まるところを知らず、その可能性は広がっていきました。

1753年ごろから、食器への絵付けと並んで板状の磁器の上に絵を描くことが始まりました。アウグスト強王の息子、アウグスト3世が磁器よりも絵画収集に熱中したため、この傾向に拍車がかかったともいえます。

フェルメールなど当時のイギリス、オランダ、フランスの名画をマイセン磁器に模写した作品がつくられ、その絵付師たちの手腕は原画と同じ質の高さを維持していました。この「絵画的絵付け」が、後に「プラーク(陶板)」となって、マイセンのひとつの大きなジャンルまで発展することとなりました。

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 930065/53n53 陶板 River Landscape near Meissen 25.5cm×25.5cm

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 930065/53n53 陶板 River Landscape near Meissen 25.5cm×25.5cm

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 933075/53n53 陶板 川のそばの家 25.5cm

マイセン(Meissen) リミテッドエディション 933075/53n53 陶板 川のそばの家 25.5cm

アラビアン・ナイト

第2次世界大戦後、東西に分裂した冷戦時代、マイセン磁器製作所は社会主義体制下に組み込まれて再出発しました。終戦後ソ連軍によって運び去られていた歴史的コレクションも返還され、1960年には創立250周年を迎えることが出来ました。

20世紀を代表するシェイプの「グローサー・アウスシュニット」は、1973年に造形家のルートヴィッヒ・ツェプナーによってデザインされ、20種類を超えるシリーズが生まれました。「アラビアン・ナイト」のシリーズは、ヴェルナーがシュトレと協力して、千一夜物語のエピソードをモチーフに発展させたものです。

マイセン(Meissen) アラビアンナイト 680710/23501/02 プレート 18cm Motiv No.2

マイセン(Meissen) アラビアンナイト 680710/23501/02 プレート 18cm Motiv No.2

マイセン(Meissen) アラビアンナイト 680710/23582 コーヒーカップ&ソーサー 150cc Motiv No.6

マイセン(Meissen) アラビアンナイト 680710/23582 コーヒーカップ&ソーサー 150cc Motiv No.6

彫塑家 ペーター・シュトラング

現代のマイセンにおいて彫刻の分野では、演劇や童話、サーカスの世界に着想を得たシュトラングの世界が個性的です。

彼の作品には西洋磁器の成型法としてはわき役に置かれていた手びねりの表現法が使われています。顔や手など主要なパーツを型を使わないで成型する手びねりの人形は、より芸術を求める磁器愛好家やコレクターに人気の作品となっています。

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/60469 ジャグラー

マイセン(Meissen) マイセン人形 900300/60469 ジャグラー