パリから届いた癒しの宝箱

世界で唯一のリモージュミュージックボックス

リモージュボックスとはフランス・リモージュ市とその近郊で制作された蝶番付きの小さな陶磁器製の小物入れです。昔はリモージュボックスを制作している工房は20軒ほどありましたが、時代の流れと共に次々と閉鎖になり、今では3・4軒ほどを残すのみとなっています。リモージュボックスそのものが希少な高級工芸品となる中で、現在世界で唯一、リモージュ陶磁器を使ったミュージックボックス(オルゴール)を制作している小さな工房があります。

パリの郊外、昔ながらの古い町並みを残すノジャン・シュル・マルヌ地区。ここにデュノアイエ夫妻が営む小さな工房があります。ここで「世界で唯一のリモージュミュージックボックス」が制作されています。

デュノアイエ家はもともと自動式の時計を制作していた芸術家の一族でしたが、クオーツ時計の出現と共自動式の時計の需要が衰退、香水瓶や貝殻などに金属製の蝶番をつける加工工房へと変わっていきました。そして今から20年前、世界で初めてオルゴールを入れたリモージュボックスの制作をはじめ、現在はフランス国内をはじめ、アメリカ、イタリアなどにも輸出するようになりました。

デザインに秘められた想い

デュノアイエ夫妻が生み出すリモージュミュージックボックスはユニークなデザインが魅力。卵の中から音楽が奏でられます。

生命が生まれてくる卵の中から
音楽が流れてくるって素敵でしょ?

そんな夫妻の想いが込められたリモージュボックスは全てが手作り。一日に制作できる数も10個程度。絵付けして焼き付け、金具の磨き、陶器と金具の接着、オルゴール設置と完成するまでには数日間かかります。

ベージュ 鳥 (オルゴール付:花のワルツ/チャイコフスキー)

フランス職人のこだわり

職人のこだわりは詳細まで行き渡ります。リモージュボックスには蝶番付きの金具がつきものですが、非常に細かい細工のデザインが施されており、細部にまで渡ってデザインを楽しむことができます。もちろん「カチッ」と閉まる手ごたえもリモージュボックスのファンにとってはたまらない魅力の一つです。

オルゴールのつまみの部分は陶磁器製のミニチュアで、これらもすべてハンドメイド・ハンドペイントで作られています。鳥、猫、犬、うさぎなど丁寧な手仕事に心奪われます。また、つまみ部分の台座には今では希少となったフランコインが使用されており、細部にまで「MadeIn France」へのこだわりが感じられます。
※ふた、台座、及び底面の足部分の蝶番のデザインはアイテムによって異なります。

リモージュの証

リモージュボックスと呼べるものは、リモージュとその近郊で手作りされたものに限られています。また、その証として製造者印の他にリモージュ製を示す「peint main」(パン・マン)のマークが義務付けられています。


Stephane Dunoyer シュテファン・デュノアイエ

シュテファン・デュノアイエは、子供の時より両親の陶器工房に置いているあらゆるものを遊び道具にして育ちました。学校を卒業後、ロレーヌに行きガラスメーカーのマスター(親方)となった彼は、ガラスの複雑さ、材質としての性格を学んでいくうちにガラスに魅了されていきます。

現在は、パリにある彼の祖父、クロード・デュノアイエが1941年にパリで始めた家業の宝石商に戻り創作活動を続けています。
光との調和でクリスタルの真価を引き出し、その作品の美を引き立てることを得意としており、ジュエリーや、オブジェなどクリスタルを用いたオリジナルモチーフで表現する作品を作り続けています。

Ateliers D’art de France アトリエダルト

アトリエダルトとはフランスの6000人以上の工房作家で構成される芸術家団体です。創業は1868年と歴史は長く、デュノアイエ夫妻もこの団体のメンバーとして活動されています。メゾン&オブジェショーの共催や、国際文化遺産展の主催者として、フランス中のアーティストと職人が彼らの作品を展示したり販売することが出来るようにサポートすることなどにより、フランス以外でも、さまざまな投資家や、団体と国際的なレベルで協力関係を作り上げることによって、作家にとってよりよい環境を提供提案し続けています。アトリエダルトのメンバーであることはフランスで活動する工房・芸術家にとって「作家として認められた」という証でもあるのです。