ガラスについて

“ガラス”と一言でいっても様々なものがありますが、一般的には、主原料となる二酸化ケイ素(SiO₂。ケイ砂、ケイ石等)に色々な金属化合物を粉末として混合したものを高温で溶融し、液体状にしてから成形されたもののことを指します。

ガラスの種類は非常に多く、それを化学成分、使い道、製造方法などで分類していますが、その種類は数え方によっては数千種類にもなります。例えば、光学ガラスだけでも、屈折率や分散(色による屈折率の差)の違いを厳密に分けたガラスが数百種類も作られ、使われています。

しかし、一般的によく使われているガラスは、化学成分で分類すると4つの大きなグループに分けることができ、これらが全体の約95%を占めます。残りの5%は特殊ガラスで、種類はたくさんありますが、作られている量はそれぞれごくわずかです。

ガラスの種類
成分
説明
主なブランド
鉛ガラス
(レッドクリスタル)
 二酸化ケイ素、酸化カリウム(K₂O)、酸化鉛(PbO)  高級食器や装飾品などに多く使われているガラスです。
ソーダ石灰ガラスに比べて、屈折率が大きく、カット模様をつけるとキラキラとよく輝きます。現在日本では、クリスタルと呼ぶ場合、一般的には24%以上酸化鉛を含む物をさします。ちなみにバカラは30%以上(ただしフランス製のみ)、スワロフスキーも30%以上酸化鉛を含んでいます。
 クリスタルガラス
(クリスタリン)
 酸化鉛、酸化バリウム(BaO)、酸化カリウム、酸化亜鉛等  上記24%クリスタルに対し、左記成分を単体もしくは複合で10%以上含む物をクリスタルグラスまたはクリスタリンと呼びます。後述のソーダ石灰ガラスとは別に定義されています。ヨーロッパでは製品材質に対する呼称規制として1970年代にすでにEEC基準として規定され、現在はEU基準として引き継がれています。
ソーダ石灰ガラスに比べ、屈折率、透明度が高く、鉛クリスタルに近いのが特徴です。現在日本でも大手ガラスメーカーであるTSG(東洋佐々木硝子)を中心に、日本ガラス工業会にてヨーロッパ同様の規定を法令化するよう政府に働けかけており、将来的には日本でも認知度を増すと思われます。
 ソーダ石灰ガラス  二酸化ケイ素、酸化ナトリウム(Na₂O)、酸化カルシウム(CaO)  多くの食器類や窓ガラス、瓶等に使われている、もっとも一般的なガラスです。古代に最初に作られたガラスもこのソーダ石灰ガラスと考えられています。酸化ナトリウムの代わりに酸化カリウムが使われることや、両方が使われることもあります。
ソーダというのは、原料として使われる炭酸ナトリウムのことを指す言葉です。一般的には単にソーダガラスと呼びます。
 ほうけい酸
ガラス(耐熱ガラス)
 二酸化ケイ素、ホウ酸(B₂O₃)、酸化ナトリウムあるいは酸化カリウム、酸化アルミニウム(Al₂O₃) ほうけい酸ガラスは化学的な侵蝕に強く、また膨張係数が小さく熱衝撃(急な温度の変化)にも強いため、化学工場の製造プラント、実験用ガラス器具、薬のアンプルや薬びん、大型の照明器具等にも使われています。なお、日本工業規格(JIS)では、膨張係数が65以下で120度以上の熱衝撃に耐えるものであれば、耐熱ガラス製食器と表示できると規定しています。