ヘレンド あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~ 第四話

あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~

モール・フィッシェル率いるハンガリーの磁器工房ヘレンドは、貴族が代々受け継いできた名窯の磁器セットの補充を頼まれ、そっくりに複製。貴族の間で大評判になりました。

「さらに翌1845年、ウィーン産業博覧会にマイセンの複製品を出展すると評判になり、国外の貴族からの注文も相次いだ。モールは、技術の向上や注文をこなすために工場の機械化を検討。多額の資金が必要やったが、エステルハージ伯爵などの貴族たちが保証人となり、ロスチャイルド商会などの大手銀行から融資を受けることができたんや。

注文を受けて生産した磁器の文様には新たな名前を付けてカタログに掲載したんやが、その名前の付け方が心憎い!依頼してきた貴族の名前を付けたんや。またカタログには、「外国製の食器セットの個別の補充を含むあらゆるご注文に、迅速かつ正確に対応します」と記載。まだ著作権がなかった時代、名陶の複製を堂々とヘレンドの看板にしたんや。

一方国内では、コッシュート・ラヨシュから改革派による農奴解放やオーストリアからの自立を求める運動が活発化。1848年、フランスの2月革命などヨーロッパ各地で革命が起こり、ハンガリーにも波及。モールの息子たちも革命に参加したがモールは・・・」

つづく

【構成・執筆・編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。