マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.11

本日は、ヘロルトの意外(?)な側面についてのお話しです。オーストリアからマイセンにやってきたヘロルトはめきめき頭角を現し、たくさんの弟子を持つことになります。しかし・・・

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【テキスト版】ル・ノーブル亭主のつれづれなるままに

ーカオリンと錬金術師とシノワズリ VOL.11―

ヘロルトの別の顔ってどういうことですか?

「職人や弟子には徹底して冷酷。少しの報酬で朝から夜遅くまで働かせ、自分の才能を脅かさないよう技術も教えず、自分のデザインを忠実に再現することを求めたんや。育てる事なんてこれっぽっちも考えんかった。そんな環境から逃げだす弟子には裏から手を回し、マイセンに居られないようにする周到さや」ブラック企業以上ですね・・・

「ヘロルトの作風に魅せられた王は、磁器の宮殿を充実したものにすべく、どんどんヘロルトに食器を注文し、さらに日本の柿右衛門をしのぐ陶磁器をヘロルトに求めた。彼もそのことは重々承知で、そのためには新しい絵具が必要やった。気難しい秘法師ケーラーに絵具を頼んでもなかなか分けてもらえず、もう盗むしかないと決心したヘロルトは、ケーラーが病床に伏せると制作方法を書き記したノートのありかを聞き出すために看病を買って出たんや。臨終を迎えるまで看病し、ついに秘密のノートを入手。ヘロルトは秘法の絵具の作り方を手に入れ、さらに次々と絵具を開発するという才能も発揮したんや。新しい絵具の登場で他では到底真似できない陶磁器が出来、ヘロルトはさらに高額な値をつけ請求していった。しかし、それが結局、災いをもたらすんやなぁ~」。

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2014年VOL.11
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。