ヘレンド あつらえの器 序話 ~ヘレンドと万国博覧会~

 

あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~

ウェッジウッドが終わり寂しいです…が、今回から新しいお話ですよね! どこの国の工房のお話でしょう?
「君、大相撲の千秋楽見たことあるか? 優勝力士に大きな壺が渡されているやが、その壺が今回取り上げるハンガリーの名窯『ヘレンド』製なんや。

ハンガリーと日本とは、おもしろい共通点があってな。ハンガリー人の祖先はアジア人といわれ、姓名は先に姓が来て、次に名前と日本と同じ。『ヘレンド』には、日本の柿右衛門の絵柄を取り入れた作品も少なくない。親日国といわれるゆえんかな。千秋楽に友好杯の壺を渡すのもうなづけるな。
一方、わが社の女性陣には、『ヘレンド』ファンが多いそうや。今までの陶磁器ブランドとはまた違う、洗練されたデザインと、持ち手や蓋に小さい生きものなどがあしらわれる遊び心に魅かれるらしい。

『ヘレンド』に魅了されたのは、もちろんわが社の女性陣だけやない。『ヘレンド』はマイセンやウィーン窯工房の設立から遅れること約100年。貴族が代々所有していた名窯の食器の補充や修理を受け、素材から手法、絵柄まで本物そっくりに仕上げたことで賞賛され発展していった。そしてオーストリア兼ハンガリー王国のエリザベイト妃に愛用され、出展していた万国博覧会でヴィクトリア女王とナポレオン三世のウージェニー妃に見初められるんや。
模倣を極めて吸収・創作して独特の世界へと変化させた名窯『ヘレンド』。その歴史は、1826年、陶工の青年がハンガリーの地方の町ヘレンドで開いた製陶所からはじまった」。

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。