マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.12

今回もヘロルトの勢いが止まりません。オーストリアからやってきたヘロルトはマイセンに大きな変化をもたらしました。マイセンの成長に大きく影響を与えたヘロルトでしたが、前から働いていた職人たちには厳しい生活が待っていました。

meissen_12

 

【テキスト版】ル・ノーブル亭主のつれづれなるままに

ーカオリンと錬金術師とシノワズリ VOL.12―

高報酬がヘロルトにどんな災いをもたらしたんですか?

「開発は続き、絵具の種類は増え、ベドガーを悩ませた磁器の黄ばみも解消。真っ白な素地に描くヘロルトのシノワズリー模様は、美しさも価格も日本の柿右衛門に迫る勢いや。それと共に、ヘロルトの報酬はさらに跳ね上がり、片や職人たちの給与は据え置きのままこき使われ、生活は困窮。やむを得ず、余った無地の白磁器を工場から買い、ヘロルトにバレないように自宅で絵付けして売りさばいた。一方、粗悪な模倣品が出回ることを心配した工場長のシュタインブリックは、商標を付けることを思い立つ。それが有名な青絵具で描かれた双剣模様や。

アウグスト王の海外赴任中、マイセン工場を任されたフォン・ホイム伯爵は、フランスの企業家ルメールと組み、その双剣模様のない柿右衛門の複製品を大量に工場で作らせ、フランスへ安くうりさばき大儲け。しかし、そんなうまい話は続くわけもなく、程なく二人は逮捕。邸宅からは大量の双剣模様なしの磁器が発見された。そこからヘロルトの法外な報酬のからくりが王の知るところとなり、ヘロルトの報酬は大幅カット。すでに美術監督と宮廷官の肩書を与えられていたヘロルトは、その特権による優雅な生活と激減した報酬に絵を描く意欲をいったんは失くしたが、そこへマイセン発展のもう一人の立役者が登場。ヘロルトは、再び自分の地位を守ろうと画策するんや。」

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2014年VOL.12
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。