ヘレンド あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~ 第八話

 あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~

1867年パリ、2度目の万国博覧会。開国にゆれる日本が初参加ですね。

「フランスはナポレオン3世の時代。前回のロンドン万博に対抗し、より多くの地域からの参加と産業・芸術の振興を目指して、開催を決定。

フランス政府から招待を受けた徳川幕府は、『日本』としての参加を条件に各藩や商人などへ出展を募った。しかし、国内は開国や倒幕で動揺。すでに藩士を海外に入国させ、水面下で取り引きを計画していた佐賀(肥前)藩と薩摩藩、商人2人が申し出ただけだった。

倒幕後を見据えた薩摩藩は先にフランス入りして別枠を借り、日の丸と藩旗を揚げたんや。幕府は猛抗議したが薩摩藩は強行。海外からは幕府・佐賀・薩摩3政府の連邦国家のように見られた。

そして4月。およそ20万坪の会場に5万2千の出展者を集めて盛大に開催されたんや。

日本からは幕府が官服や武器、浮世絵、漆器、陶器、和楽器など。佐賀藩と薩摩藩は『伊万里』などの有田焼や薩摩焼の陶磁器を中心に、食品や織物、籐や竹細工などを集め出品したんや。

ヘレンドは35箱にもなる磁器をパリへ送った。その中には有田磁器『柿右衛門』の写しをアレンジした『インドの華』があった。え? なぜ、品名に『インド』をつけるのかって?」。つづく

【構成・執筆・編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。