マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.7

こんにちは。ル・ノーブル亭主です。ようやく成功の兆しが見え始めてきた…というところで、宿敵による監視とアウグスト王にベドガーは悩まされ続けます。

贅沢三昧を続ける王、スパイや職人流出による情報の漏えい危機などを抱え、財政難に陥るマイセンをなんとか立て直すべく必死に改革を訴えるベドガー。なんとか改革が進み始めたかに見えたのですが・・・

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【テキスト版】ル・ノーブル亭主のつれづれなるままに

ーカオリンと錬金術師とシノワズリ VOL.7―

亭主様、ベドガーに新たな悩みが出てきたようですね。

「そうなんや。王から男爵の称号も授かり、マイセン王立磁器工場の工場長になったけど、宿敵ネーミッツは、ベドガーに罪をかぶせて工場の収入や経費を横領するわ、そのお蔭でアウグスト王とは険悪の仲になるわ。その王の生活は、相変わらず贅沢三昧。ベドガーたちが造った磁器や赤色磁器を安く手に入れ、その代金や、職人たちへの賃金は未払いのまま。また、王がヨーロッパ中に磁器を宣伝したので、磁器開発をしていたライバル国からスパイが送られるわ、職人は引き抜かれるわ、製造方法が漏れるのを防ぐため、工場の仕組みはより複雑になり、コストが掛かって薄利で赤字。たちまち工場は財政難に陥り、生産が滞る始末。

王が招集した特別委員会で、ついにベドガーは現状と改革案を必死に訴えた!ベドガーのよき理解者で医師のバルトメイトや実直な工場査察官シュタインブリュックの援護もあり、ベドガーの案は認められ、なんとか工場改革が進んだんや。

窯や粘土、釉薬も改良され、磁器が安定して生産される見通しがつくと、王とベドガーはさらに上を目指し、難題を自ら作り出した。それは、中国や日本の磁器を彩る美しい彩色装飾の技術で、高熱に耐える絵具の開発を意味したんや。しかし、ベドガーは開発出来んかった。生きている間には・・・

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2013年VOL.7
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。