ウェッジウッド「女王陛下の陶工と呼ばれた男」Vol.5

『女王陛下の陶工』と呼ばれた男 

~天ハ自ラ助クル者ヲ助ク~ ⑤

ジョサイア43歳、 エカテリーナ二世も虜にする 

右脚切断の不運はあったものの、「女王陛下の陶工」の称号を授かり、新工場も建ち、事業は順調。
そこへある女王陛下から注文⁉女王陛下って誰です?

「ロシアのエカテリーナ二世や。イギリス大使のパーティーに招かれ、ウェッジウッドのクイーンズ・ウェアを目にし、1770年に「ハスク・サービス」と呼ばれるディナーセットを、3年後にはチェスミー宮殿用に50人分のディナーセット「フロッグ・サービス」を注文したんや。

ジョサイアは、「フロッグ・サービス」すべて(952または944点)のピースに、宮殿にすむ蛙とイギリスの風景1222(または1224)点を描き、1774年に完成させたんや。納品する前にロンドンのショールームで、のちに世界三大ディナーセット(二つはロイヤルコペンハーゲン「フローラ・ダニカ」、マイセン「スワン・シリーズ」)の一つと言われるその姿を披露。貴族、市民、シャーロット王妃も訪れたで。

ジョサイアはクイーンズ・ウェアを通じて、人を接待する機会が多い大使や外交官が、ウェッジウッドの食器を買えば、おのずと宣伝されることに気づいた。また、「フロッグ・サービス」の利益はわずかだったが、自分より豊かな人や有名人と同じものを持ちたくなる
人の心理を考えれば、宣伝効果は抜群。王妃仕様の商品を大量生産できるデザインや工程に改良し、4カ国語の宣伝用カタログも作り、世界へ普及させたんや。

一方、『初日の壺』で使った『ブラック・バサルト』に、古代遺物を取り入れたデザインの製品開発も進んだで」。

つづく

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス大山崎ツム・グ・ハグ2018年Vol.20
【大山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。