マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.1

物語の舞台は、ヨーロッパの陶磁器が大きく動いたマイセン窯の始まりからスタートします。実は、マイセンよりも数百年も前にイタリアで磁器の研究は行われていたものの、磁器の秘宝であるカオリンにたどり着けず停滞していました。

そ してその後やっとマイセンの強王アウグストの異様なまでの執念により、美しい陶磁器を作りだすことに成功します。しかしそこから始まるストーリーはさまざ まな人の思惑や歴史が複雑に絡み合い、国を超えた一大騒動へと発展します。そんなお話を、だれでもが気軽に読めるようにしたのがコラム「ル・ノーブル 亭主のつれづれなるままに~カオリオンと錬金術師とシノワズリ」です。

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【テキスト版】ル・ノーブル亭主のつれづれなるままに

ーカオリンと錬金術師とシノワズリ VOL.1―

 

「御亭主、以前聞いた大河ドラマのようなヨーロッパ陶磁器界のお話し、書いてもらえませんか?」

今回から、マイセンをちゅうしんとしたヨーロッパ陶磁器界のお話しです。日本や中国の陶磁器の「白地に東洋絵柄」に憧れ、発展した裏には、悲喜交々な人間模様がありました…その前に御亭主、やきものについて簡単に解説してくださいませ。

「やきものは、『土器』『炻器』『陶器』『陶磁器』と4つの種類に分けられるのはご存じかな?『土器』は、粘土をこねて成形し、900度の火にくべただけのやきもの。『炻器』は、窯を用いて土器を1200度で焼き上げたもので、土器では不可能だった『水の保存』が可能に。『陶器』は、偶然燃料に使っていた木材や枯葉の灰が炻器にかかり、1000度を超えて焼いた結果、灰が溶けてガラス質の膜(釉薬)になり誕生。その後、人が工夫を重ね、今に至っているわけやな。『陶磁器』は、中国・景徳鎮近くの「高峰(カオリン)」で採れる白い粘土と、石英・長石の粉末を原料に作った、上品な白で光を通すやきもの。この白を出すためにヨーロッパの貴族や錬金術師、陶工たちが悪戦苦闘するんやわ」

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2013年Vol.1

【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。