ウェッジウッド「女王陛下の陶工と呼ばれた男」Vol.4

『女王陛下の陶工』と呼ばれた男 

~天ハ自ラ助クル者ヲ助ク~ ④

ジョサイア35~38歳 名誉と不運と新天地

結婚の翌年にイギリス王妃から注文ですかー。幸運続きですね~。

「ジョサイアが改良を重ね開発した、なめらかで光沢があり丈夫、陶磁器より手頃なクリーム・ウエア製陶器は、市民の間で大人気となっていた。

その頃『シャーロット王妃のティーセットをスタッフォードシャーの陶器で』という王室からの注文を、どの工房も辞退する中、ジョサイアは高い完成度のクリーム・ウェア製陶器で応えた。

王妃は大変満足し、クリーム・ウェアに『女王陛下の陶器=クイーンズ・ウェア』を、ジョサイアには『女王陛下の陶工』という名誉ある称号を授けたんや。

クイーンズ・ウェアの名は、貴族の間にも広がり、注文が殺到。生産が追い付かず、工房は人手も設備も限界を超えていた。そこでジョサイアは、ベントレーと共同で、かつて二人が建設を推し進めた運河(トレーシー&マージー運河)が通る場所に土地を購入し、新工場の建設を開始した。

しかしその矢先、ジョサイアの右脚の傷が悪化。医師たちの勧めで右脚膝下の切断を決意。麻酔なしの手術に耐え、術後も順調に回復したんや。

無事工事も再開し、1769年、エトルリア工場完成。これを記念して、ベントレーがろくろを回し、ジョサイアが開発を進めていたブラック・バサルト(黒色磁器)を使い成形して『初日の壺』を作ったんや。この『ブラック・バサルト』は改良され、今も世界で愛される『ジャスパー』へと進化を遂げる。その話を進める前に、再び『クイーンズ・ウェア』が注目を集めた出来事を話そう」 。 つづく

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2017年Vol.18
【大山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。