ヘレンド あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~ 第十話

あつらえの器 ~ヘレンドと万国博覧会~

 

1867年パリ万国博覧会では、日本は個人・団体共にさまざまな賞を受賞。この万博以降、ジャポニスムが大流行しました。へレンドでは、モールが個人で銀メダル受賞しました。

 

「日本は授賞で注目を浴び、ブースに訪れる人を喜ばせたが、佐賀藩などは8割が売れ残ったそうや。
一方ヘレンドは8割が売れ、フランツ・ヨーゼフ皇帝から宮殿用の食器セットの注文と王室御用達の資格が授与され、次期万博への弾みとなった。
フランツ・ヨーゼフ即位25周年を記念して1873年5月にウィーン万国博覧会の開催が決まり、各国に参加が要請された。

 

誕生したばかりの明治政府は、内政がまだ不安定として一旦は辞退したが、国として世界に認められ、伝統産業の宣伝と輸出増加の機会になると参加を決定。また、先進国の品物を調査し、製造方法などの最新技術を学ぶことも目的にした。

 

出展品は前回のように人を喜ばせるだけでなく、西洋人の好みや使い勝手などを考慮して、国の利益に繋がるものを作るように指導したんや。

 

出展者としてヘレンドの双璧となるジョルナイ工房やのちにウィーン磁器工房閉鎖の一因となるボヘミアの磁器会社も参加し、パリ万博の3.5倍という広さに5.3万の出展者数、7万点以上の出展品が並び、ウィーン万博は開幕したんや」。つづく

 
 

【構成・執筆・編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。