マイセン工房「カオリンと錬金術師とシノワズリ」Vol.5

本日のコラムはベドガーがその素材配合などで大変苦労したお話しです。

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ル・ノーブル亭主のつれづれなるままに

ーカオリンと錬金術師とシノワズリ VOL.5―

亭主様、ベドガーにとって待ちに待った実験再開は?

「1707年秋、ベドガーの計画を聞き、アウグスト王は要求に応えるべくドレスデンに実験室を用意し、再開を命じた。実験室には、チルンハウス伯爵が開発した巨大集光レンズが取り付けられ、1500度以上の温度を出すことができた。しかし、強い光も伴ったため、助手のケーラーやヴィルデンシュタインは目を傷め、遠くのものが見えなくなるほどだった。

磁器の開発には、ベドガー、伯爵、助手以外にもベドガーの監視役で味方ーベドガーを敵視する監視役もいたーのオーハイン、宮廷医師でありながら磁土責任者に命じられたバルトメイトが協力を惜しまず、大活躍。彼らは各地の土の情報を集め、オーハインが1708年6月、アウエ地方に良質のカオリンを発見!この土には可逆性があり、成形に最適で焼くと白くなった。しかしそれだけでは吸水性のない、透明感のある素地には至らず、熔融剤として石灰質の鉱物が必要だった。するとその1か月後の7月、今度はバルトメイトがノルトハウゼン近くで石灰質の鉱物、雪花石膏(アラバスタ)を発見。ベドガーがその2種類を使い、高温で焼くと、白くて半透明なサンプル(小さな板状)ができた!さらに安定して製造できるようにとベドガーたちは実験を重ね、一方では伯爵が工場設立に奔走。磁器の誕生まで、もうあと一息!というところでベドガーたちに再び不幸が・・・

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2013年Vol.5
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。