創業190年を誇るウィーン生まれの芸術
オーストリアを代表するメーカー「ロブマイヤー(LOBMEYR)社」は、1823年に“ヨーゼフ・ロブマイヤー”によってウィーンで設立されました。
1836年にはオーストリア皇帝フェルディナンド1世にシャンデリアとテーブルセットを納め、早々に「皇帝御用達」の称号を賜りました。また1900年に行われた最初の万国博覧会にも出展し、瞬く間にオーストリアのクリスタルメーカーのパイオニアとなりました。
2代目でヨーゼフの息子であった“ルートヴィヒ”は、1864年にオーストリア・ウィーンにオーストリア応用美術博物館を設立しました。優れたデザイナーでもあった彼は、1856年に「トリンクサービス No.4(ドリンキングサービスNo.4)」を発表します。驚く程にシンプルなデザインであるこの作品は、現代でもロブマイヤーのデザイン・アイコンとなっています。その後1883年には、ウィーンのロイヤルパレス用に初めて電気のシャンデリアを製作し、世界で大評判となりました。
名高い芸術家によって創造される名作の数々
現代でも製作が続くグラスシリーズ「パトリシアン」や、「アンバサダー」などの不朽の名作は、ステファン・ラース・シニアやヨーゼフ・ホフマンといったウィーンのアーティストたちによって20世紀初めの頃に作られました。ハンス・ハラルド・ラース(1938–1968)は、大戦の後オーストリアのクリスタル産業を再構築し、スワロフスキーガラスを使った最初のシャンデリアをデザインするなど、シャンデリア製作に革命を起こします。彼の作品は、今日もウィーンのオペラハウスで観客席を飾っています。
ハラルドとピーター、そしてステファン・ラース(1968–2008)は会社を拡大し、中東や日本市場にも販路を開き、新しい店をザルツブルグにも構えました。また、1972年には1780年創業のシャンデリア・メーカー「ザーン」を獲得するなど、国際的な販売活動や新世代のデザイナーたちとのコラボレーションを積極的に行っています。
ロブマイヤーは今日でも素晴らしいアーティストたちと活動し続けています。
画家や建築家などそのバックグラウンドは様々ですが、彼らはロブマイヤーの多様性だけでなく、クリスタルの価値をも高めています。ガラスは複雑な材料であり、それを理解する能力を必要とするため、ロブマイヤーにとってガラスの特別な性質を理解しているアーティストはとても重要な存在です。一方で、彼らもまたマーケットの規制に囚われることなく、あらゆる可能性と技術を実現させる機会に恵まれてると言えます。
ロブマイヤーは永遠に続く美しさをもつ持続可能なデザインを目指し、独創的でありながら、長く愛される人生の仲間であらねばならないとしています。
宙吹きの極薄グラス「モスリングラス」
「モスリングラス」とは、美しく織られたフランスのファブリック「モスリン」の名を冠した、わずか0.7~1.1mmの厚みに吹かれたロブマイヤー社のクリスタルガラスの名称です。非常に上品な縁を持ち、口をつけるとガラスと飲物との優雅なコンタクトが忘れがたいグラスになります。
優れたガラス吹き職人でさえ、モスリン・ガラスをつくるためには長年の経験を必要とします。
薄いガラスの溶融は瞬時に固くなるため素早く作業せねばならず、職人の作業を見ている人々は、彼らの働くスピードと妙技に驚きます。また、同じシリーズがハンドメイドで正確に形づくられる様子は衝撃的ですが、むしろ手吹きのガラスの魅力は微妙な不規則性にこそ存在します。
ロブマイヤーグラスは少なくとも24人にも及ぶ職人の手と、4回のクオリティーコントロールを経て店舗に出荷されますが、最後のクオリティーコントロールは創業から190年以上が経過した現代においてもなお、必ずロブマイヤー・ファミリーの一員が担っています。
1995年にウィーン商工会議所によって定められた、ウィーンの歴史と芸術を受け継ぐ高品質な製品の包括ブランドです。高い品質やきめ細やかなサービスの他、ウィーンならではの雰囲気、ユニークな才能、美的センス等も重要視されています。「ウィーン磁器工房 アウガルテン」をはじめとする現在ウィーン・プロダクツに加盟している51企業の製品は、生産工程と品質に関する最も厳格な基準に合格し、しかもウィーン独特の優雅な美学を体現しています。