小さいものは皆美しい
お猪口ほどのカップや、掌サイズのティーポットなど…。
日本では何かを作ることを「細工」といいます。作ることは、すなわち細かく縮小することでもあるわけです。「なにもなにもちひさきものはみなうつくし」と昔の歌にも詠まれているように、日本人の小さなものへの愛しみは、文化的な特徴ともなっています。
ミニチュア造形の起源は、古代の墳墓から副葬品として出土していた小さな土器だという説があります。祭具か、あるいは個人所有の玩具だったのかその用途は不明ですが、現実世界を封じ込めた小さな造形に強い霊力が宿るという信仰は、世界各国に残る伝説などから伺い知ることができ、副葬品のミニチュアはそうした信仰とも関係もあるのかもしれません。
ミニチュア造形の歴史
ロイター・ポーセリン
ビアトリクスポター ピーターラビット
ミニチュア コーヒーテーブルセット
ヨーロッパのミニチュア造形の歴史は、ドールハウスの歴史とも言えます。ドールハウスとは、日常生活をミニチュアサイズに縮小した模型の家のことで、建物や部屋、小物などを含めた生活用品を表現していました。
ドールハウスが初めて制作されたのは16世紀の初め頃と言われており、1611年に制作されたドールハウスも現存しています。
当時のドールハウスというのは、王室や貴族が自身の屋敷を縮小して制作させたものがほとんどであり、一般庶民の間で親しまれることはありませんでした。しかし、18世紀末になると世界各地で「産業革命」が起き、既製品としてのドールハウスが一般庶民の間にも出回りはじめます。そして19世紀ヨーロッパの中流家庭にも広まり、その後手工芸品として世界中に愛好家が増えていきました。
時代を忠実に描き出す
江戸時代の日本でも、さまざまな「もの」を模したミニチュア製品が驚くほど多く普及・流通していました。これらは、ままごとや箱庭などの「遊び」に用いられたと考えられますが、そのモデルとなった「実物」が生活の身近にあったからこそ、「遊び」の道具として親しみを持たれ、大事にされていたのでしょう。
日本を代表するフィギュアメーカー・海洋堂には、20世紀初めに創られた「美似(ミニ)」と呼ばれる生活用品(民具)・民家のミニチュアのコレクションが収蔵されています。これらのミニチュアは、職人たちの手によって江戸時代以来の生活や風俗が忠実に再現されており、日本文化をそのまま縮小して閉じこめたタイムカプセルといも言えるでしょう。
世代を超えて愛される玩具
ミニチュア造形の発達は、携帯する必要性や、運送時の商品体積を少なくするためなどという実用的な目的からということも考えられますが、多くの場合、実用性よりも、小さく作ることへのこだわりや、縮小されたもののもつ美しさや愛らしさへの憧憬と結びついているように思われます。
幼いころにミニサイズの食器で遊んだり、お菓子のおまけでミニチュアを集めたりした経験をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。見ると思わず手に取ってみたくなる、小さいものに対する愛しさは老若男女、時代を問わず誰にでもある感情ではないでしょうか。
マイセン
ギフトミニ カップ&ソーサー各種
Reutter Porzellan ロイター・ポーセリン
1948年、ドイツのデンケンドルフに創業したミニチュア食器の陶磁器メーカー「ロイター・ポーセリン」。ドールハウス用のミニチュア食器を作ることから始まり、その後、通常サイズの食器も製造するようになりました。現在でもミニチュア食器の製造を続けており作品は、コレクターの間で有名です。
ロイター・ポーセリン
ビアトリクスポター ティーセット
ロイター・ポーセリン
ビアトリクスポター ピーターラビット
ミニチュア ティーセット
ロイター・ポーセリン
ビアトリクスポター
ミニチュア ティーセット
ロイター・ポーセリン
ビアトリクスポター
ピーターラビット ウォールクロック