250年の「威信」
将来を約束された若い陶工「ジョサイア・ウェッジウッド」。彼にとって最初の工場が開設されたのは、1759年の5月でした。
当時の彼は、故郷であるスタッフォードシャー以外ではまだあまり知られていない存在でしたが、約1000年前に中国人が磁器を発見して以来、彼は芸術、そして科学の分野において最も重要な陶器の発明に尽力し、18世紀の終わりには、世界で最も偉大な陶工として世の中の知るところとなりました。その彼が築きあげたウェッジウッド社は、2009年に設立250年を迎えています。
今回ご紹介する「プレステージコレクション」は、ウェッジウッド社250周年を記念して発表された限定のプレミアムシリーズです。
陶器の装飾品の「発展」
陶器の装飾品は、主に18世紀に発明され、当時それらの製造は、主にドイツのマイセンや、フランスのセーヴルの独占状態でした。
ジョサイアは、彼が新しく生み出した磁器「ホワイトテラコッタ」を用いて、始めて花瓶を作成します。以降、精巧でより装飾的になり天然の「半貴石」、「マーブル(大理石)」「アゲート(めのう)」、「小石」、「花崗岩」、「ラピスラズリ」などの模様や色を模した装飾品を登場させていきました。
アゲートベース メノウ焼き
Agateware(メノウ焼き)はアーザンウエアの素地に数種のカラフルな大理石模様を模倣して作られています。
この模様は、異なる色の土を混ぜ合わせたり、素地に切り込みをいれて色を混ぜ合わせたり、釉薬に色を混ぜ合わせたりすることによって、描かれています。
キャノピックベース
古代エジプトではCanopic Vase-カノプス壺-をミイラを作成する際に、臓器を保存しておくための容器として使用してきました。Canopicは当時、この容器が生産されていたエジプトの都市カノプスにちなんでいます。ウェッジウッドと事業パートナーのベントレイはエジプト様式を陶器の世界に取り入れた初めての陶芸家であり、20世紀以降もエジプト様式に想を得た作品を創出しつづけています。
新しい磁器の「発明」
ジョサイアは優秀な科学者でもありました。世界中から粘土を取り寄せては、来る日も来る日も分析研究を重ね、新しい磁器や上薬の開発に情熱を注ぎました。彼の持つ科学知識は、こうした発明実験で得られたものも多かったのでしょう。次々に変わる流行や、市場のニーズにも敏感に対応する為に、およそ5年の歳月をかけて新しい磁器を発明する事もあったのです。
ジョサイアが生み出した最も有名なものにジャスパーウェアがあげられますが、それ以外にも彼の生み出した新しい磁器として、当時インテリアやアクセサリーに使われた、ホワイトテラコッタ、ケーンウェア、ロッソアンティコなどがあります。
中でもケーンウェアは、スタッフォードシャーの磁器製造所で以前使われていた粘土を、新たにジョサイアが改良を加えたものでした。
ケーンウェアとは籐(ケーン)をイメージした黄褐色のストーンウェアです。1787年に初めて目録におさめられ、その表面は竹を模倣してデザインされています。
このケーンウェアの発明には苦労した様で、相当な回数の実験を繰り返し苦悩した様子が、彼の共同経営者にあてた手紙の中に綴られています。彼は5年をかけて実験改良を行い1783年の終わりにようやく完成させたのでした。
ティーセットと英国紅茶の「歴史」
ウェッジウッドが2009年に迎えた創業250周年を記念して、2004年秋から6年間、毎年発売されていたコレクションの一つが「 250周年記念 アニュアルコレクションⅡ ティーセットと英国紅茶の歴史 」です。
全て特別に限定製作されており希少性が高く、ひとつひとつにウェッジウッド250年の長い歴史と伝統が深く息づいています。
【世界限定生産400点】
チャイニーズパターン
(2作目 – 2005)
【世界限定生産400点】
フェストゥーン
(4作目 – 2007)
【世界限定生産400点】
アニュラー
(5作目 – 2008)
【世界限定生産400点】
225シェイプ
(6作目 – 2009)