リチャードジノリ「第3の窯-温故創新-」Vol.6 最終話

 

-イタリアデザイン界の天才、ジノリへ-

今月は、リチャード・ジノリ陶磁器会社( 以降ジノリ社) に天才が登場するんでしたね?「その天才とは、のちに『イタリア建築・デザインの父』と言われたジオ・ポンティ( 以降ポンティ)。彼は、建築家でありながら、住宅やオフィス、客船などの家具や照明器具、食器などの日用品、舞台衣装、車やミシンなどの工業製品といった分野のデザインも手がけた。ジノリは1923年、32歳のポンティを7年契約でアートディレクターとして迎えるんや。彼は、かつて採用されずに会社に眠っていた作品や、古代ローマやルネサンス時代の神話や芸術作品からテーマや絵柄を選び、新しい発想で斬新なデザインを創りだした。また彼は、職人たちの仕事ぶりをちゃんと観察し学ぼうと、頻繁に現場に行ったんや。そして工場の生産工程を見直すことで効率よく、クオリティーの高い製品を大量に生産できるようにしたんや。彼の行った改革の成果はすぐに証明された。1925年のアール・デコ博( 現代装飾美術・産業美術国際博覧会)で大賞を受賞したんや。彼の作品は、契約が終わった後の展覧会でも大賞を受賞するなど長く高評価を得た。ポンティ以降もジノリは、さまざまデザイナーや建築家を起用したり協力を得たりして、時代の先端を行く製品を発表。しかし、いつの頃からか経営が悪化。2013年には、裁判所から破産宣告を受けるまでに。しかし、イタリアの有名ファッションブランド会社が買収し、現在もイタリアを代表する陶磁器ブランドとして進化し続けているんや」

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス 大山崎ツム・グ・ハグ2017年Vol.5】
【大 山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。