ウェッジウッド「女王陛下の陶工と呼ばれた男」 Vol.7

『女王陛下の陶工』と呼ばれた男
― 天ハ自ラ助クル者ヲ助ク ―

ベントレーの死と奴隷のメダイヨン

何千回の実験の末、生まれた『ジャスパー・ウエア』。さまざまなアイテムもで
き、人々をとりこにしたようですね。「その中に、著名人の肖像をモチーフにした『メダイヨン(またはメダリオン。カメオ風メダル)』がある。ジョサイア・ウエッジウッドは千を超えるメダイヨンを作った。今日はその話や。アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリン。彼は、ジョサイア、共同経営者のトマス・ベントレー、詩人でホームドクターのエラズマス・ダーウィンの3人と交友があり、この頃アメリカ独立革命に奔走していた。フランクリンは、ジョサイアが作った彼のメダイヨンのおかげで、かなり広く知られていたそうや。

アメリカ独立戦争の間、イギリスでは奴隷制度廃止運動が盛んになっていった。当時多くの商人が奴隷貿易で利益を得ており、商人のベントレーも例外ではなかったが、奴隷制度に強く反対の立場をとっていた。そのベントレーが1780年、50歳にしてロンドンでなくなった。ジョサイアは仕事と心の支えを失ったが、ダーウィンがジョサイアを支え、2人とも今まで以上に奴隷解放運動に積極的に参加していったんや。

1787年、ジョサイアが奴隷解放のメダリヨンを製作した。そこには『私は人間ではないのか、友ではないのか』と記された。ジョサイアは、奴隷制度廃止を支持する人たちや、アメリカで奴隷制度廃止運動団体の会長になっていたフランクリンに手紙を添え配った。メダイヨンは、人々の帽子や服、髪などに飾られ、解放運動は広がっていったんや」つづく

 

【編集・デザイン:大山崎リトルプレイス
【大山崎リトルプレイスについて】私たちノーブルトレーダース(株)の本社は京都にあり、大山崎町は会社設立の原点の場所でもあります。その町で活 動をされている大山崎リトルプレイスさん。町や生活に関する情報をはじめ、近隣地域で活動をしている会社や人々を取材され「大山崎ツム・グ・ハグ」という フリーペーパーを毎月発行されています。その中で多くの人々に陶磁器の魅力を知っていただきたいと始まったのが窯にまつわるコラム「ル・ノーブル亭主の徒 然なるままに」です。