バイヤーのこれイチオシ!vol.76 京都伝統産業の日

京都では、春分の日を伝統産業の日と定めています。この日を含めた期間中は様々な伝統工芸にまつわる催しが開催されており、あらためて日本の産業文化に関心を寄せるきっかけになります。今回のイチオシでは、そんな京都にまつわるアイテムをご紹介いたします。

京都で四百年続く、伝統ある手ぬぐいの老舗。

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舞子さんがスキーをたのしむユニークなデザインや、四季を感じる京都の風景。一方でスカーフのようにファッションとしても使えるデザインパターンなど、多彩なデザインが揃う永楽屋の手ぬぐい。近年の新しいデザインももちろん素敵ですが、たとえば昭和初期に生まれたデザインなど、永楽屋が今まで脈々と受け継いできた図案も楽しみのひとつ。日本の手ぬぐいの歴史が楽しめるというのも老舗ならではです。最近ではアートを飾る感覚でインテリアとしても人気があります。

永楽屋
織田信長公の御用商人として活躍し『永楽屋』の屋号と『細辻』の姓を拝領し、江戸初期に綿布商として創業。400年に渡って手ぬぐいや風呂敷を扱う京都の老舗ブランドです。現在の14代目当主は伝統を意識しながらも、新デザインブランドの立ち上げやコラボレーション作品など発表し、第一線を走り続けています。海外の旅行者も立ち寄る京都の有名店の一つです。

京都の豊かな文化が育んだ、清水焼。

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京都に脈々と続く「清水焼(きよみずやき)」。この伝統を大切に守りながら、日本各地の陶磁器、漆器、鉄製品、茶道具、骨董品、着物など多岐にわたるコラボレーションによって、新たな文化を積極的に魅力を発信しています。また、上質で飽きのこない3つの楽しみかたとして、「貞雲」「かより」「見立て」の3つのオリジナルブランドを展開しています。あらためて、清水焼の魅力に気が付きます。

西川貞三郎本店
古都京都は五条坂。焼き物の窯や陶房が軒を連ねる界隈に店を構える「西川貞三郎商店」は1917年創業以来、京焼・清水焼を中心とした陶器、磁器などを国内外に販売。初代店主・西川貞三郎氏は、1958年のベルギー万博に出展し清水焼を紹介、また二代目計太郎氏のころからは、日本の優れた伝統工芸品及び雑貨をも取り扱うようになりました。

幻の器とよばれる京薩摩。その伝統を未来へつなぐ。

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京薩摩の歴史はわずか数十年とも言われ、明治から大正初期に花開いた京都の焼き物です。雅やかで繊細な作品は欧米にも人気があり、一時は生産量も本薩摩をしのぐ勢いがありましたが、日本の急激な工業化の影響を受けて衰退を余儀なくされてしまいました。その技術は現在にほとんど継承されていないため、幻の器と呼ばれています。そんな「京薩摩」に出会い、独学で研究精巧を極めた華麗な職人技で描く伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の逸品です。

京焼・清水焼 伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-
高校卒業後に清水焼窯元にて絵付け職人として勤務。2年後京都府立陶工高等技術専門に入学し染付けの職人に。結婚後も家で受け取りの仕事や窯元に行き絵付けを続け、1996年友人の勧めで京都伝統工芸大学校にて絵付け講師に就任、染付け・上絵の実習を教えるように。その後「赤絵細描」と「京薩摩」に出会い独学で研究、3年後に展示会を行う。2011年NHK「美の壺」出演、2012年京都美術工芸大学 絵付け講師に就任。

結ぶのも、解くのも楽しい。折り紙のような風呂敷。

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2003年、折り紙という古典的な世界で「折り紙をもっとポップに!」をキーワードにグラフィック折り紙を制作。あそびのデザイン”をテーマに活動する軸原ヨウスケ、武田美貴によるデザイン・ユニットが手掛ける風呂敷シリーズです。cochae(こちゃえ)の由来は、出身地である岡山県の伝承民謡『備前岡山太鼓唄(こちゃえ節)』から。天保時代に流行した俗語で「こちらへどうぞ」など複数の意味を持つお囃子言葉です。

山田繊維株式会社
山田繊維株式会社は、京都の風呂敷専門のメーカーです。伝統的なデザインはもちろん、現在のライフスタイルに適したデザインの開発も積極的に行っており、風呂敷文化を愉しむ製品作りに取り組んでいます。製品開発以外にも、和の文化セミナーや風呂敷の使い方講習会などを実施し、日本が育んできた風呂敷の「美意識」を世代や国境を越えて発信しています。