ウェッジウッドのバックスタンプ

カップやソーサー、プレートの裏には、印刷や型押しでバックスタンプと呼ばれる刻印が記されています。バックススタンプは窯や年代ごとに異なり、その製品が作られた年代、製造方法などを伝えてくれる貴重な情報源です。

自分が持っているカップはいったいいつ頃つくられたのか、どうやってつくられたのか…、そんなことがわかれば、より一層そのカップに愛着が増すのではないでしょうか。

ウェッジウッドのバックスタンプの見方

  1. ウェッジウッドの頭文字である「W」の中に、同社を世界的に有名なブランドにした一因ともなった「ポートランドの壷」のシルエットがデザインされています。
     
  2. WILD STRAWBERRY(ワイルドストロベリー)」など、そのアイテムが所属するシリーズ名が記載されています。
     
  3. 素地の種類が記載されています。見本は「BONE CHINA ボーンチャイナ」(白さと独特の透明感を出すために骨粉を含有した、イギリスを代表する高級磁器)ですが、ほかに「QUEEN’S WARE クイーンズウェア」などもあります。
     
  4. 金の小さな線のようなものが入っている場合があります。これは必ずしも入っているわけではなく、金彩を塗る際に職人が筆先を整えるために描かれたものです。 手がけた職人の好みにより、付いていたり、いなかったりします。

また、無色の小さな数字の刻印も見かけることがありますが、これは多数の窯を持つウェッジウッドの整理番号のようなもので、こちらも必ず入っているとは限りません。シリーズ名や、素材名がそのまま記載されるなど、ウェッジウッドのバックスタンプは洋食器初心者にも分かりやすく、ありがたいブランドでもあります。

バックスタンプの変遷

1759~69年ごろ
バースレムでジョサイア・ウェッジウッドによって使われたと推定されるもの。おそらく最初のマークであると考えられています。


1764~69年ごろ
非常に数少ないマークで、ベル・ワークスで使用されていました。


1759~69年ごろ
いろいろなサイズで使用されていました。


1769年ごろ
内枠と外枠のない円印のバックスタンプ。「エトルリア」の文字も入っていませんが、恐らくウェッジウッドとベントレーの最初の印とされています。


1769~80年
「エトルリア」という文字があり、古いバサールトの壺の基底の内側の隅や、胸像や大きな肖像の台座に見られました。


1769~80年
内と外に線の入ったこのタイプは、常に「バサールト」や「エトルリア」の壺のスクリューの周りに押されていますが、ジャスパーには見られない印です。


1769~80年
独特な手描きが特徴のマークで、ウェッジウッド&ベントレーと記されています。


1769~80年
ウェッジウッド&ベントレーのインタグリオに記されています。それぞれに大きさの異なったカタログナンバーがついていました。


1769~80年
非常に小さいインタグリオに、時々「W.&B.」のマークとカタログナンバーのみが記されている場合もありました。


1769~80年
チョコレート色と白色の印章用インタグリオにのみ見出される、珍しいマークです。光沢のある縁取りが付き、二重の粘土層ででき上がっている肖像である場合が多い。


1769~80年
胸像、グラニット、バサールトの壺、人形、飾り板、メダイヨン、カメオなど、極めて大きな陶板から小さなカメオに至るまで、さまざまなサイズで記されています。


1780年以降
ベントレーの死後(1780年)からジョサイアの死(1795年)後しばらくまで使用されてとされています。


1790年
非常に短い間だけ使用された、珍しいマークです。


1805年以降
ジョサイア・ウェッジウッド2世のマークです。恐らく事業における新しい協力関係、あるいは変化があったことを示しています。いくつかの三脚付バサールト製香合にのみ見出せます。なお、記載の日付は、1805年にこのデザインが最初に登録された年を意味しているとされています。 “Feb.2″の代わりに”2nd Feby”となっている場合もありました。


1812~22年
このマークは常に赤または青か金でプリントされていました。


1769年以降
この印はクィーンズウェアの本体に直に刻まれているか、色でプリントされており、最近では「エトルリア」と「バーラストン」という言葉や、パターンの名称がトードマークと共にプリントされています。 1780年からは装飾用ジャスパー、ブラックバサールト、ケーン、テラコッタ、クィーンズウェアにはこの印が常に記されており、 1891年以降は「イングランド」という名称がこれに加えられました。


1840年頃
ごく短期間、高級品に使用されていました。


1878年以降
ボーンチャイナの製造が復活した際に採用され、さまざまな色彩でプリントされています。


1891年以降
「マッキンレー税関法」として知られているアメリカの関税規則に沿うため、ウェッジウッドというマークに追加されました。


1878年のマークを基に開発されたマーク。1974年に円の中にRが書かれたアイコンがバックスタンプに追加されましたが、これは、”WEDGWOOD”の名前が登録商標であることを示すものです。


1940年以降
色つきでプリントされ、クィーンズウェアシリーズに記されました。


1998年中頃以降
現在も使用されているマークで、ウェッジウッドの頭文字「W」の中に“ポートランドの壺”がデザインされています。


2005年以降
グラス&フォークのマークは、ヨーロッパにも日本で言うところの「食品衛生法」があり、EU規則に基づいて「その検査を受けました」「食品検査合格」ということを表すマークとなります。2005年から義務付けされたため、同じシリーズでも製造の時期によってマークの有・無があります。このマークにより、WEDGWOOD製品は、安全性も優れていることが確認できます。

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