240年の時を超えて、受け継がれる青と白の器
1775年に、当時の国王クリスチャン7世とジュリアン・マリー王妃によって、王室使用と親交のある各国の王室への贈り物を製作することを目的に設立されたのが「ロイヤルコペンハーゲン」です。
格調のある芸術的な作品を作り続け、世界中の王室や上流階級から絶大な信頼を集めてきました。 繊細なレース技術、高度な手描きによる独特の絵柄、日本でも人気の高い“コペンハーゲンブルー”と呼ばれる独特の青。 すべてが伝統と誇りを守るクラフトマンシップによって受け継がれています。
ロイヤル・コペンハーゲンの歴史
デンマーク磁器製作所の開設
東洋から輸入された神秘的な宝物「白い金」と呼ばれた白磁を探し求めることから始まり、1710年にマイセンがヨーロッパ初の硬質磁器を発明したことより陶磁器ブームは、やがてヨーロッパ全土に波及し、当時隆盛を誇っていたデンマークでも、磁器生産国になることは、悲願ともいえる切実なものでありました。
磁器の製造方法は、何年ものあいだマイセンによる門外不出の秘法とされており、ヨーロッパの貴族はこれらの磁器を自分のコレクションにしたいと探し求め、彼らの欲望が磁器研究所を各所に作らせるようになりました。
「王立デンマーク磁器製作所」も、鉱物学者のフランツ・ハインリッヒ・ミューラーによって硬質磁器の実験のためにが創立されました。1770年、国内原料で初めて磁器の焼成に成功し、この報を聞いた皇太后ジュリアン・マリーの支援で「デンマーク磁器製作所」を開設。 これがロイヤル・コペンハーゲンの始まりです。
1779年には王立の窯「王立コペンハーゲン磁器製作所」となり、以来100年余りを王室専用の窯として制作にあたります。その後、1868年ロイヤル・コペンハーゲンは王立から民間の手に移行し、1885年に招かれたアーノルド・クローによってロイヤル・コペンハーゲンの名は揺るぎ無いものになっていきました。
フローラダニカの誕生
ロイヤル・コペンハーゲンを代表するパターンの一つである「フローラダニカ」は、世界で最も豪華なディナーサービスの一つとして評価を得ています。
フローラダニカは1790年、国王クリスチャン7世が、ロシアのエカテリーナ2世への贈り物として作らせたのが始まりといわれています。
このパターンは元々、デンマークに成育する植物をそのまま器に再現しようという着想のもと『フローラ・ダニカ(デンマークの花の図鑑)』に記載された2600種もの花々が描かれることになっていました。 しかし、1796年にエカテリーナ2世が没すると、1802点まで及んだフローラダニカの製作はうち切られ、これらの製品はデンマークの国宝としてローゼンボー宮殿に保存されることになってしまいました。
これら製品のうち現在約700種類が商品化されており、同じ植物図鑑を手本としながら豊富な色使いのできる上絵付技法によって1点ずつ手で描かれています。
フローラダニカは一つの作品を、2人のペインターによって作り上げられるためペインターサインが二つ記載されています。一人が花のモチーフを、もう一人がゴールドを描きます。アイテムがいくつものパーツに分かれると、それにかかるペインターの人数は増えます。
フローラダニカ
ティーカップ&ソーサー 220cc 1147080G
バックスタンプの「三本の波線」
フルーテッドシグネチャー
プレート 22cm 2556622
ロイヤル・コぺンハーゲンの作品には、ペインターのサインとともに「王冠」と「3本の波線」が描かれています。
王冠はデンマーク王室御用達として、王室との深い結びつきを表しており、また3本の波線はデンマークを囲む主要な海峡である「大スンド海峡」「大ベルト海峡」「小ベルト海峡」の3つの海峡が表されています。
この3本の波線は1775年の5月1日最初の重役会議において、ジュリアン・マリー王妃のアイディアが採用されたと言われています。このデザインは現在でも使用されており、時を超えて受け継がれるクラフトマンシップを感じさせます。
「フルーテッドシグネチャー」シリーズは、ロイヤル・コペンハーゲンのバックスタンプを「フルーテッドシェイプ」の表面に大胆にあしらったデザインです。