漆器のお手入れ

使用前のお手入れ

  • 新しい漆器は漆の匂いがしますが、使っていくうちに消えます。 気になるようでしたら、お酢を含ませたガーゼで拭いた後洗い流すか、米ぬかに入れておくと早く取れるようです。

使用後のお手入れ

  • すすぎにお湯を使って水切れをよくし、すぐに柔らかい布で拭きましょう。 後は直射日光の当たらないところで乾かします。
  • 天然の漆は傷がつきやすいです。 洗う時には、他の食器と一緒にせず漆器だけ先に洗い、柔らかいふきんやガーゼを使うなど、愛情を注いで優しく扱いましょう。 食器洗い乾燥機も使用できません。
  • 長時間漆を水につけておくと、 木地が変化したりふやけたり、はがれやすくなってしまうので気をつけましょう。

漆器は持ち主が育てる

人間のように感じさせる漆器。それは漆器の特徴にあります。漆器は直射日光にとても弱いです。 これはまるで私達が日焼けをしたら肌に良くないことと似てはいないでしょうか。皮膚が焼けて剥がれてしまう。 漆器も同じです。そして乾燥や湿気も敵です。カビやひび割れを起こしてしまう可能性があるからです。 人間はカビたりしませんが、乾燥や湿気が多いところは、肌が荒れたり具合が悪くなったりするのではないでしょうか。そして、もう一つの特徴として新しい漆器は匂いがします。

この匂いは1、2年消えません。まるでそれは、生まれたての子供のようです。 この匂いの原因は、ウルシオール(漆の主原料)とラッカーゼ(酵素)が関係します。 実は漆は完成してからも、固まっていきます。この漆の匂いが、まだ固まっている最中を示す目安になります。 なるべく自然に使用していくうちに匂いをとる方法をお勧めします。初めのうちは優しく使ってあげて下さい。 使い込んで2、3年ほど経つと艶が出て完全に成熟します。 成熟した漆器は、酸、アルカリにも強く、断熱性にもすぐれています。 そして数千年の時を超えるほどの耐久性を持つようになります。

漆器は持ち主によって良くも悪くも変化する生き物のような器です。大切に扱ってあげることで、持ち主の想いに応えて、暮らしの中のパートナーとして共にあり続けてくれるでしょう。