バイヤーのこれイチオシ!vol.73 輪島塗

蒔絵や沈金による豪華絢爛な一面もありますが、一方で漆や生地の味わいを感じられる、普段使いにお勧めの「輪島塗」をご紹介します。漆の器は一生もの。器の変化を味わいながら育てていくのも楽しいですよ。

漆塗りの歴史をご存知でしょうか。漆を用いたものづくりの歴史は古く1万年にも及ぶと言われ出土している最古の漆器は9千年前の日本のものです。この事が関係しているかわかりませんが、漆器はJapanと呼ばれ日本を代表する器として海外から認知されています。古来から寺院や仏像など宗教建築や美術にも使われ、相当な金額が投資されてきた漆塗りの技術力の高さは想像を絶するものです。

現代の漆文化を代表する輪島塗。

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蒔絵の技法の中でも最も難しいとされる「肉合研出蒔絵」で山水画が描かれた平卓(「山水」 杉谷松芯氏作品)

日本の漆製品を語る上でまず外すことができないのが、堅牢優美で知られる「輪島塗」です。
クオリティの高さから特に有名な漆器です。輪島塗の製造工程は120工程ともいわれ、「木地」→「塗り」→「加飾」という流れで半製品がそれぞれ専門の職人達の手を渡りながら、工程が加えられていきます。さながら輪島の町全体が製造工場のようで、数か月から長いものでは数年かけて製品化されていくのです。絢爛な作品は熟練の蒔絵師によるもので、脈々と受け継がれた高い蒔絵技術により、緻密で繊細な世界が表現されています。

堅牢優美。毎日使いたい一生もの。

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正式な工程で作られた漆塗りは非常に強く、乾燥と紫外線さえ気を付ければ千年単位で色を保ちます。万が一カケた場合も修繕が可能です。漆そのものの美しさは、現代の様に様々なモノに溢れる時代には見落とされやすい側面もありますが、眺める時間が長くなる程その魅力にとりつかれる奥深いものです。ル・ノーブルでは伝統的な手作業の工程をしっかりと受け継いだ輪島塗職人の作品を厳選し扱っております。ハンドメイドであり、天然の素材であるからこそ生まれる複雑な色合いや風合いは「良い物」であることを静かに語っています。ぜひ画像だけではなく、手にしっとりと馴染む漆の感覚を感じて頂けると幸いです。

普段使いにおすすめの輪島塗「変り塗」シリーズ

生地にもこだわり、素材の木目を活かした約40工程の作業の仕事で仕上げられる「輪島変り塗」です。工程を省く事で価格面でもお求めやすくなったシリーズですが、より生地の風合いが楽しめます。口部分に布を貼り補強する、輪島塗の特徴でもある「布着せ」が施されております。傷も目立ちにくく、普段使いにおすすめです。

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輪島塗
はぞり碗 総本朱

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輪島塗
はぞり碗

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輪島塗
はぞり碗 溜色